HOMERSSサイトマップ

2007年09月22日

介護する側の負担を広く薄く吸収する仕組みの、社会的な整備が急務だ。

人気blogランキングへ。応援ありがとうございます。

<高齢者虐待>年1万2500件…半数が息子・娘 厚労省

介護・在宅介護においての、高齢者虐待に関する初の全国的調査とのことですが。

介護放棄や経済的虐待も程度の差こそあれ、虐待に属することを考えると、実態としては、調査結果よりはるかに件数が多いのではないかという気がします。

半数が肉親による虐待、また虐待の対象者が80歳以上の女性が占めているというのは、理屈のうえでは理解できます。

介護をするのはまず第一に身内ですし、女性の平均寿命が男性よりだいぶ高くなっているのわけですから。だから調査結果そのものには驚きはさほどない。

しかし、恐ろしいのは、介護者もおそらく最初は虐待の意図がなく、きちんと介護をしていたにも関わらず、途中から疲労や倦怠感によって、それを放棄する心理状態に陥る構造が、現在の社会的サポートがさほど期待できない日本社会においては、内的に組み込まれていることでしょう。

だから、現時点では虐待に該当しないと分類されていても、潜在的に虐待に移行する懸念をつねに秘めているわけで、高齢化が進むなか、このような状況が常態化することは、本当に恐ろしい。

ひらたく言えば、いまでこそ高齢者虐待がとんでもない、という社会的通念が成り立っているものの、社会的システムが貧弱なまま推移した結果、10家庭のうち6家庭がなんらかの介護放棄をするところまで介護の現状が悪化すれば、それがごく普通のこととして社会的に認知され、改善の機運が弱まってしまう可能性がある、ということです。悪貨が良貨を駆逐するような状態です。

下手をすれば、虐待された高齢者ではなく、介護疲れで虐待におよんだ虐待者にむしろ同情と関心が真っ先に集まる世の中に、なってしまいかねない。

育て世話をしてくれた親の面倒をみるのが当たり前であるという社会常識が常識としてきちんと機能する国でありつづけるためには、社会的に介護というエネルギーを多大に要する行為を、さらに細かく区分けし、分散して、一人当たりの負担を減らす精緻な仕組みを、社会的インフラとして構築していくしかないのではないでしょうか。

そのためには経済的配分が硬直的な現在の介護保険制度を、もう一度抜本的に見直す必要もあるでしょうし、医療や保険制度との連携のあり方も、考え直す必要がありそうです。

こうすればよい、という特効薬はなさそうですが、考え方のキーとなるのは「介護する側の、一人当たり負担の分散と軽減」だと思います。

介護に限りませんが、一人に異様に負荷がかかる社会システムはなんであっても、長くは続きません。

持続可能性という視点を大切にした制度そのものの見直し機運が高まるよう、一人でも多くの人が、こういう問題に関心を持ち続けることが必要だと感じます。

 


TOPページへ   ▲画面上へ

Copyright (C)時事問題・時事ニュース 用語能力強化工房.